Diary of A resourceful Doctor by Hans Henrik Holm

ISBN: 978-87-993977-0-9

超音波医学の創始者たち
DIARY OF A RESOURCEFUL DOCTOR
En Opfindsom Læges Dagbog

By Hans Henrik Holm ハンス・ヘンリック・ホルム

 

About This Book
Diary of A Resourceful Doctor” is an autobiographical, informative, illustrated account of a life plagued by the author’s irresistible urge to produce technical inventions. The story covers the latter half of the last century (1940-2000) and provides an insight into hospital life humorously narrated through bizarre, light-hearted experiences linked to a dozen more or less successful inventions.
はじめに
本を書きたいというのは私の長年の夢でした。それも仲間うちに読ませるる退屈な専門書ではない本物の本。ふつうの人に読まれ、ギフトとして誰にも珍重され、批評家に絶賛され、そして多言語に翻訳される、そんな本を書きたいと思っていました。

人命について深遠な識見を有する医学作家としての自分を思い描いたのはほんの一瞬、それを著すにはいささか文学的素養が不足することに気づくにはそう時間はかかりませんでした。そこでさらに考えた末、私の生涯の仕事について、医者としてではなく発明家として考察をしてみることにしました。じきに知れるように、私の発明は成功とはほど遠いということもしばしばでした。自叙伝作家としての最初でおそらく最後のこの試みもどうなることか。その方面の創造的な能力も持ち合わせていませんし、八十歳に近づいてパーキンソン氏病に罹り、記憶力も衰えてきています。しかしながら、成功を期待させるものもなくはありません。ホルム家の先祖や我が少年時代、六十年ほどの学生、研究者、そして医者としての人生がきわめて愉快で魅惑的、ドラマチックでコミカルでさえあったということです。問題は、その愉快な暮らしをごた混ぜの記憶からうまく引き出して読者の興味を失わせずに語ることができるかということです。まー、それはおいおいわかること。

What Research Fellows Are Saying:

“It's a very nice and funny book that perfectly corresponds to the "image" I have of Prof. Holm.”.

Luigi Solbiati, MD., General Hospital of Busto Arizio, Italy

“The end of 2012 saw a precious gift to the international ultrasound community.
This is the English PDF version of the memories of my old friend and mentor Professor Hans Henrik Holm, the Father of Interventional Ultrasound, whom all of you will know of and most of you will have had the pleasure of meeting personally. A hilarious read plus full of good feelings. You smile when you put it down. Read it and share it with ultrasound friends around the world.”

Dr. Christian Pallson Nolsøe, EFSUMB Past President, Denmark

Hans Henrik Holm博士のまじめなBIO

1931年デンマーク生まれ。

泌尿器科学で博士号を得るが、外科、産婦人科、超音波医療など幅広い分野で、コペンハーゲン、ヘルレフHerlev、ゲントフテGentofteの大学や病院で臨床教育、臨床および研究を行う。とくに超音波画像法の分野で早くから先駆者として活躍。1960年代から基礎的な超音波技術とその応用の双方の発展に貢献して国際的に広く認められる。1968年のウイーンでの第一回世界超音波医学学術連合(WFUMB)大会で最初のグレースケールスキャナーの実験モデルを発表、リアルタイム超音波断層法を最初に開発提示した一人である。また超音波ガイド下でのドレナージやバイオプシなどのInterventional ultrasound(超音波穿刺術)や放射性シードインプラントなどの草分けでもある。経直腸的走査法とInterventional ultrasoundとを最初に組み合わせて体腔内超音波走査法の発展の道を開いた。さらに超音波ガイド下体外衝撃波砕石術(ESWL)の発明、多様な応用のための多数のトランスデューサーの開発、マイクロトランスデューサーの試みなどを行った。

1979年からInterventional Ultrasoundに関する国際会議の会長を八回、1991年にはコペンハーゲンで開催された第六回世界超音波医学学術連合大会の会長をつとめた。1975-1976 米国ボストンのHarvard Medical School Peter Bent Brigham Hospitalの放射線科の客員教授。1986年に革新的研究者としてNovo (Nordisk) Prizeを受賞する。2001年コペンハーゲン大学教授退官。2007年 世界最古の学問所(1088年創立)のボローニャ大学の名誉博士号を授与される。

前向きの研究姿勢と誠実で親しみやすい人柄が慕われて超音波へ情熱を分かちあう研究仲間が国内外に多い。
ちなみに二世たちと考案した膀胱排液器EasiVacとして製品化されている。

現在、愛妻Kirstenと愛犬Trille(ハバニーズ)とともにデンマークのCharlottenlundに住む。

     



 本書では前世紀後半のデンマークの病院で起きたさまざまな出来事を医療関係者だけではなくふつうの人々にもわかるように書いてみました。三十章のうちの二十章は私の発明とそれにまつわる話です。ここで言ういわゆる「発明」とは犬の糞のギフト包装から胆石破砕機まで多岐にわたります。技術的に不成功に終わった発明もありますし、実際に医療技術の世界に画期的な業績を残したものもあります。本物の発明の多くは優秀な同僚や内外の協力者とともになされたものです。

誰が言ったかは思い出せませんが、忘却は神の恩寵だそうですね。馬鹿な行動や恨み辛みの類をそのままいつまでも思い出すとしたらちょっと耐えられない。確かに恩寵です。有難くはありますが、記憶すべき電話番号を覚えられないとか孫を相手にメモリーゲームができない言い訳を考えなくてはならないという不都合もあります。暗証番号を忘れるとか同僚や家族の名前を度忘れするとなるとちょっと面倒なことになります。健忘はしばしば傲慢とか冷淡と誤解されるのでやっかいです。自伝的な本を書こうという著者にとっては忘却は恵みなりというわけにはいきません。しかし幸いなことに、本書に書いた出来事はいずれも何度も何度も聞かされたことだから「忘却の恩恵」にあずかる心配はまったくないと愛妻Kirstenが確証してくれています。それに本を書くために準備しておいたメモやスケッチの数々が役に立ちました。

現存するものに問題を見出してこれを解決して改良改造して発展させるといういわば技術的発明に心惹かれるのはどうやら我が家の血筋らしく、これが私の人生を宿命的に支配してきたようです。少年期にその兆候があり、長じて医者として病院で仕事をするようになってから新たな展開をもたらしました。同様の性向の人にはわかってもらえると思いますが、これは性的衝動にも匹敵する抑えがたい欲求です。一目してお粗末なデザインとわかる道具や機器などあらゆるものに触発されるのです。安価な缶きりから高価なエックス線装置まで種々雑多が対象になります。

明らかにこれは問題ありとわかるとそのことで頭がいっぱいになって、家族、友人、仕事など他の一切はどこか遠くに追いやられてしまいます。熱に浮かされたようにうろうろ動き回り、あちこちに下絵や数字を走り書きして、心ここにあらず、車に轢かれたっておかしくない。「他に心を奪われていらっしゃるの?」とためらいがちに妻が問うたのを今でも思い出します。伏せ目がちにそうなんだと不面目を認めるしかありません。このとき彼女が嫉妬すべき相手は「胆石破砕機」でした。すでに三週間を経過した熱い関係でした。そのいきさつやそれに関連したもろもろの話なども書いてみました。

 

 

"Humor attack approaching Japan in the form of BLACK BOOK"

 
Hans Henrik Holm 記
http://hanshenrikholm.dk/en/
 

What Journalists Are Saying
“This book is well written overall, a chirpy narrative full of sharp observations that paint a brilliant historical image of both society and hospital life.” 

Ulla Selfort, Editor

 

 “The manuscript makes cheerful and entertaining reading. The warm self-ironic tone works well. The described cases as examples of luck or bad luck with various inventions are well narrated and make exciting reading, even for laymen. It also provides an interesting insight into the life of the Danish medical world, and a contagious enthusiasm for the urge to invent something.”

Marie Louise Toksvig, Journalist

 

And:
“What a wonderful book! This book felt like a window into some Holm family traits that seemed all-too familiar, from the hilarious accounts of childhood pyrotechnics to a constant preoccupation with finding new ways to do things. As a not-so-distant relative living quite far away, it gave me some welcome context as to where our family came from.”

Kris Holm, Mountain Unicyclist, Canada

 
余話 EXTRA
病院好き検査好きの人は超音波の恩恵を大いに受けているはず。X線や放射線と違って非侵襲性で体にやさしい。外から体内の臓器や皮下の軟部組織がリアルタイムで見えるということから検査、診断、治療に広く利用され、その普及拡大は目覚しい◆半世紀以上も前の黎明期から世界中の機械好きのドクター達が切磋琢磨してきた分野だが、和賀井敏夫福田守道竹内久彌渡辺泱、斎藤雅人など諸先生方の業績は大きい。和賀井敏夫著の「超音波診断法事始」を参照されたい◆肝臓手術の大家幕内雅敏氏を紹介したNHKテレビ番組では診断と施術に超音波技術が必須であることがわかる◆日本超音波医学会日本生体工学会日本非破壊検査協会等の自然体の医工連携は「イノベーション創出の鍵」とも言えよう◆ちなみに超音波医学をライフワークとしてきたドクターは皆さん元気で長生きでいらっしゃる。

      

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文責: 渡辺章子
Syoko Watanabe, Ph.D.
ealae@telus.net